茶の十徳
茶の効能を説いた十ヶ条です。栂尾山高山寺の明恵上人が茶の十の徳を芦屋釜に刻ませたと伝えられています。明恵上人は、栄西禅師から茶の種子をもらい栂尾に茶の種子を播き、これをもとに京都の宇治をはじめとして全国各地に茶の栽培を奨励したといわれます。茶はこれら高僧により禅宗寺院を中心に広がりを見せます。厳しい修行を特徴とする禅宗では、悟りを開く上であらゆる欲望や煩悩を無くすことが大切で、これら雑念を払い修行に集中するための手段として、茶の飲用がすすめられました。「茶の十徳」は、茶を飲み続けることによって授かる茶の効能を10項目に集約し、広く世間に教えました。
諸天加護
茶を飲めば加護がある。
五臓調和
茶の効能は体全体の機能と維持に役立ち、病気を未然に防ぐ。
孝養父母
茶の深い味わいは素直な心を芽生えさせ、父母への感謝の心を育てる。
煩悩消滅
茶の深い味わいは、わずらわしい世事の疲れを忘れる。
寿命長延
心に煩悩なく身に病気さえなければ、日々の仕事に精励でき寿命も長くなる。
睡眠自除
茶は、神経を活発にさせ、頭脳と血液の循環を増進する。
延命息災
茶は強精力もあり元気に暮らすことができる。
天心堕心
茶を飲むときは心を落ち着かせ、無我無心で純真な心になりきる。このため天神の心に叶い堕う心境になる。
諸天加護
邪気邪念もなく、神仏の加護がある。
臨終不乱
茶を愛飲すれば心の平静を保ち天寿を全うできる。